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このブログでは、時間外勤務手当について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
八 以上要するに本件訴訟の争点は賃率四二%ないし四六%の中に割増賃金(残業代)が含まれているか否かということであるにもかかわらず、原判決は全く理解し難い独自の考えにより上告人らも被上告人も全く主張してない事実を主張したとして架空の争点を作った上、その架空の争点に対する判断を示したものであり、判決とは言い難いものである。 よって速やかに破棄さるべきである。 第二 原判決には労働基準法第三七条及び同法施行規則第一九条の解釈を誤った違法があり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。また原判決の解釈は最高裁昭和三五年七月一四日第一小法廷判決の判示にも反しており、速やかに破棄されるべきである。 一 原判決は 1 「各被控訴人が午前二時以後には就労する法的根拠を欠き、就労義務がない反面就労しても何ら賃金請求権が発生しないといえる。」 2 「午前二時までの間を所定外労働時間とし、午前二時以後は就労しても、前記説示の点から就労しない場合と同視してこれを零として計算した。」との見解のもとに、午前二時以後の割増賃金(残業代)請求は発生しないとしている。 右判断は、就労義務がない違法な時間外労働(残業)についても割増賃金(残業代)請求権が発生し、かつ、労働基準法第一一九条一号の罰則規定も適用されると判示した最高裁昭和三五年七月一四日第一小法廷判決の判示にも明かに反する独自の判断である。 二 また原判決の割増賃金(残業代)の計算方法は労働基準法施行規則第一九条に明かに反している。 すなわち、原審は別紙一ないし五の各2認定欄において、一時間当たりの賃金(E欄)月間水揚高平均(G欄)は当事者間に争いがないとして、上告人ら主張の金額(この金額は月間水揚高平均、午前二時以後の労働時間も含めた総労働時間数及び賃率をもとに計算した金額である)をそのまま使用しながら、労働時間数については午前二時以後の時間を零として計算している。 ここに至っては、支離滅裂としかいいようがない。 すなわち、一時間当りの賃金に争いがないのは、その計算の前提たる月間水揚高平均、総労働時間数、賃率に争いがないからである。 原判決のように午前二時以後を労働時間として認めず、「原審が午前二時以後の就労を所定外深夜として取り扱うことについては当事者間に争いがないとしたのは相当ではない」というのであれば、上告人らの総労働時間数は少なくなるのであり、労働基準法施行規則第一九条により算出される一時間当りの賃金額は多くなるのである。 要するに、労働時間数に争いがあり、一時間当りの賃金に争いがないということはありえないのである。 企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、顧問弁護士契約をしている弁護士にご確認ください。また、個人の方で、交通事故の示談や慰謝料の交渉、相続の方法や遺言の形式、会社都合の不当な解雇、原状回復(敷金返還請求)や借金返済の解決方法、家族の逮捕などの刑事弁護士が必要な刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。 PR |
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